こんな方にオススメの内容!
- そもそもSES企業とは何なのか知りたい!
- 初めてのエンジニア転職先がSES企業でもいいのか気になる!
- SES企業がブラックと言われる理由を知りたい!
- 自分に合った労働環境を見つけるきっかけをつくりたい!
ちなみに当記事執筆のわたくし自身は下記のような経歴を持っています。
- 未経験からのSES企業への転職経験あり
- 受託開発企業などSES以外の形態でも働いた経験あり
このように、実際に未経験からSES企業への転職を経験したからこその生の声をお伝えすることができます!
加えてSES以外の形態との比較も踏まえて、未経験者でもわかるように解説します。
当記事でわかること
- SES企業へ転職するメリット&デメリット
- SES企業がブラックと言われる理由
- SES企業への転職に向いている人の特徴
そもそもSES企業とは
SES企業を簡単に言うと下記のような表現になります。
エンジニアを必要としている企業に、自社が抱えるエンジニアを派遣することを主な事業としている企業
自分たちでサービスを開発して展開しているわけではなく、他社のサービスの開発をお手伝いしている形になります。
そしてエンジニア界隈でよく言われるのが
「SES企業はブラックが多い」
「SES企業には転職しない方がいい」
このようなネガティブフレーズですね。
今回は主にこのネガティブフレーズをよく聞く背景や、反対にSES企業へ転職するメリットを中心に解説していきます!
SES企業が増えている最大の要因は、比較的倒産リスクが低くサービス展開が非常にしやすいからです!
(倒産リスクが低い背景に関しては、後述の「比較的倒産リスクが低い」で詳しく解説します)
簡単に言ってしまえば、SES事業は提携先の企業へエンジニアを派遣さえすれば収益が入ってきます。
つまり収益の構造は、転職サイトや転職エージェントと似ているのです!
ここまででSES企業の簡単な概要とSES企業が無くならない実態を解説してきました。
これらの基礎情報を踏まえて、後述ではSES企業へ転職するメリット&デメリットを中心に解説しています!
SES企業へ転職するメリット
冒頭でもお伝えしたように、今回挙げるメリットはあくまでも”未経験者に限定した場合”を想定しています。
未経験者がSES企業へ転職するメリットのポイントは以下の3つになります。
- 転職活動の難易度
- 倒産リスク
- 環境の変化
比較的選考ハードルが低い
SES企業の選考ハードルが比較的低い主な理由は以下の通りです。
- 未経験者需要が多い!
- 企業の母数が多い!
- 選考ステップが少ない傾向が高い!
「とにかく一人でも多くのエンジニアを派遣したい!」
SES企業の考えはこれに尽きます(特に中小のスタートアップ系企業)。
前述の「そもそもSES企業とは」でも少し触れたように、SES事業は提携先の企業にエンジニアを派遣すれば収益が発生します。
つまり、派遣するエンジニアが多ければ多いほど収益が上がるのです!
さらにSES企業は未経験者を採用する分、未経験者でも業務をこなせるような案件を数多く持っています。
- 派遣するエンジニアが多ければ多いほど収益が上がる。
- 未経験者でも業務をこなせるような案件を数多く持っている。
上記のような背景から、エンジニアの数が欲しいSES企業はたとえ未経験者であったとしても積極的に採用する傾向が強いのです。
そもそも、SES事業は中小のスタートアップ企業であっても比較的展開しやすいサービスであるため、SES企業数はどんどん増えていく傾向があります。
企業数が多ければ採用される可能性も高くなることは言うまでもありませんよね。
また、選考ステップが少ない傾向にある点も特徴的です!
書類選考 ⇨ 1回面接 ⇨ 合否
この流れが鉄板ですね。
当然選考ステップが少ないほど内定をいただける可能性も高くなります。
基本的にSES企業(特に中小のスタートアップ系企業)が未経験者を採用する際は「人柄」をよく見ます。
ただし、基本的には社内にいる時間よりも社外(派遣先の企業のオフィス)にいることが多く、一緒に働く時間は非常に短いため、人柄選考だけで何回も選考ステップを設けることはありません。
また人柄とは相反して、未経験者のスキルをじっくり見る企業は少ない傾向があります。
(逆に未経験者であってもスキル重視で選考してくれるSES企業は、開発などの経験が積める優良企業の可能性が高いです!)
以上のように、未経験者であっても積極採用をしてくれる企業の母数が多く選考ステップ自体も少ないからこそ、SES企業への転職はハードルが低いと言えるのです。
求人数が豊富
前述の「比較的選考ハードルが低い」とも大きく関わってきますが、SES企業の求人数は豊富です。
求人数が多いということは転職できる可能性が広がるため、選考ハードルが低いことと直結してきます。
求人数が多い最大の要因は、そもそもSES企業の母数が多いことが大きく関わってきます。
前述の「そもそもSES企業とは」でも触れましたが、SES事業は比較的簡単に始めやすいサービス形態です。
そのため、あまり資金的に余裕のない中小のスタートアップ系企業であってもSES事業はスタートさせやすいのです。
そして求人内容は「企画・開発・テスト・マネジメント」などと様々で、自分の経験値やスキルセットに適した求人を柔軟に探すことができる点も特徴です。
未経験者であっても、うまくいけば良質な開発経験を積むことができる現場にアサインしてくれるような求人に出会うことは可能です!
とはいえ、求人票だけで業務内容まで見抜くことが非常に難しい点も特徴的です。
誤った求人を選んでしまうと長い期間テスターなどのロースキルポジションに配属されてしまう可能性もあるので、ある程度の数の求人を見比べた上での見極めが必要になってくることを念頭に置いといてください。
(求人内容によってデメリットになりうる件は、後述の「ロースキルポジション配属になりやすい」で詳しく解説します)
「求人数が多い」という数の面ではメリットと捉えることはできますので、とにかく転職を終えたいという方にはSES企業への転職は良いと思います!
比較的倒産リスクが低い
前述の「そもそもSES企業とは」でも少し触れましたが、SES企業は構造上倒産リスクが低くなります。
SES企業は自社サービスの売り上げで収益を占めているわけではなく(自社サービスを展開しているSES企業もありますが)、あくまでも提携先にエンジニアを派遣することで収益を上げているため、提携先の企業が全て倒産しない限り倒産はしません。
表現を変えるなら、他社の存続に依存していることになります。
SES企業はたった1社との提携であることはほぼありません。
間違いなく複数の企業と提携しています。
つまり、1つの企業が倒産しても他の企業で収益を補えるよう、比較的簡単にリスク分散をすることが可能なのです!
またSES事業を展開して安定的に収益を上げることができていれば、次は自社サービスを展開して事業を複数持つ方針に切り替える余裕も生まれてきます。
このように最近誕生したIT企業は
初めはSES事業一本 ⇨ 収益が安定してきたら自社サービスも展開
このような流れが主流になりつつありますね。
もし会社に長く勤めることを優先的に考えている方であれば、SES企業へ転職するという選択肢は出てきてもいいですね。
環境の変化を楽しめる
仕事をする上で、下記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
- ずっと同じオフィスにいると環境の変化がなくてストレスが溜まってくる。
- 定期的に一緒に仕事をするメンバーを変えて新たな知見を身につけたい。
上記のように考えている方であればSES企業は魅力的かもしれません!
表現を変えると、SES事業は「エンジニア派遣事業」です。
自社ではなく派遣先のオフィスで働く時間が非常に多くなります。
そして、派遣先が変わればその度に働くオフィスや一緒に仕事をするメンバーも変わるのです!
(当たり前ですが)一般的な会社であれば基本的には社内で働くことが多いです。
「別のオフィスで働きたい!」
「社内設備を変えてほしい!」
「違うメンバーと働いてみたい!」
仮にこのような要望を伝えても柔軟に対応してくれることは非常に少ないでしょう。
しかしSES企業であれば、比較的柔軟に働く環境を変えることができます!
- ◯◯業務に挑戦したい!
- ◯◯系のサービス事業に関わりたい!
- 人間関係に悩んでいるため現場を変えたい!
このように自分の考えや悩みを担当の営業さんに依頼すればOKです。
もちろん自分のスキルや経験値に見合わない環境への変更を強要することはできませんが、働くオフィスや人間関係を変えること自体は比較的スムーズに行えます。
環境が変わればそこで一緒に働くメンバーも変わるため、新しい出会いや知見が増えていく楽しみも増えるメリットもありますね!
様々なコネクションを作りやすい
前述の「環境の変化を楽しめる」でも触れましたが、環境が変われば人も変わるため、様々な方と仕事ができます。
そして、様々な方と仕事ができるメリットとしては下記などが挙げられます。
- スキルを含め優良なエンジニア情報を共有してもらえる!
- 副業等の案件を紹介してもらえる!
- 習得したいと考えているスキルのメンターを担当してもらえる!
要するに、自分の人脈を使って様々な挑戦をする機会をつくることができるのです!
会社という枠を超えて、社外の人脈を形成できる点は、エンジニア以前に社会人として大きなメリットになります。
特に、後にフリーランスエンジニアなどの独立を考えている人ほど人脈は重要です。
派遣先の現場には自分よりもエンジニア経験が豊富な方がたくさんいます。
そういった良質な環境をうまく利用して、自己成長や挑戦する機会をつくっていきましょう!
ただし、1つ注意点があります。
自分が所属している会社で得た人脈で会社に不利益となる行為をすることはNGです!
例えば下記のような人脈の使い方はNGです。
- 常駐先の企業へ転職した。
- ”所属する会社に許可なく”常駐先の方から紹介してもらった副業案件に手を出した。
- 所属する会社の情報を常駐先の企業に漏らした。
上記のような行為は法律で禁止されています。
もし自分の人脈の使い方が問題ないかどうか判断がつかない場合は、必ず所属先の会社に確認を取ってから行動しましょう!
とはいえ、社外の人脈ができることは間違いなく人生にプラスに働くので、人脈が増えること自体はメリットと言えますね!
SES企業へ転職するデメリット
今回紹介するデメリットは、SES企業がブラックと言われやすい理由に大きく直結してきます。
ただし、もちろん人によってブラック企業の定義は異なるので、今回紹介するデメリットを理解した上でSES企業への転職を考えることをおすすめします!
そもそもSES企業だけでなく、自社開発企業や受託開発企業といった形態の異なる企業であったとしても、メリットとデメリットの両方が必ず存在します。
転職活動をする前に、まずはそれぞれの形態で起こりうる自分にとってのメリットとデメリットを洗い出す(情報を調べる)ことは非常に大切ですね!
ロースキルポジション配属になりやすい
前述の「比較的選考ハードルが低い」でも触れたように、SES企業は1人でも多くのエンジニアを派遣することが収益を上げる上で重要です。
そのため、スキルや経験値がほとんどない未経験者でも積極的に採用する企業が比較的多いです。
スキルや経験値をあまり考慮しない採用ということは、誰でもできる業務を任される可能性が高いということです!
誰でもできる業務の代表例としては下記などが挙げられます。
- テスターに代表される確認作業
- 家電量販店などでの接客業
- コールセンターでのお客様対応
- 社内での雑務
「未経験者でも採用してくれた!」
このような軽い感覚で入社すると、蓋を開けてみればロースキルポジション採用であることに気づくケースは多いです。
ですので、未経験者であったとしても必ず自分でプログラミング学習を行い、より良いポートフォリオを作成することを強くお勧めします!
もちろん自社開発企業や受託開発企業であっても、ロースキル業務を任されるケースはあります。
しかし、SES企業と比べるとロースキル業務を任される可能性は圧倒的に少ないです。
なぜなら、スキルや豊富な経験値を持った優秀なエンジニアを中心に求人を出す傾向があるからです!
自分たちが展開しているサービスや、他社から委託で受けている開発案件の場合、品質を最優先した開発が非常に大切になってきます。
それもそのはず、そのサービスが失敗すると自分たちの収益に影響が出るからです。
そのため自社開発企業や大手IT企業は、低スキルを持ったエンジニアが派遣されるリスクのあるSES企業にわざわざ高い派遣料を支払って派遣してもらおうとは考えないのです!
大概は業務委託のような形で確実に優秀なエンジニアを採用したりします。
このように優秀なエンジニアを求める傾向が高いことからも、未経験者が大手や自社開発企業に入社する難易度が高いことがわかると思います。
案件ガチャになりがち
前述の「ロースキルポジション配属になりやすい」でも触れたロースキルポジション採用を仮に回避できたとしても、次に待っているのが”案件ガチャ”です!
案件ガチャを簡単に説明すると
「アサインされる案件によっては自分に全く合わない環境の可能性があるリスク」
このようなことを指します。
この案件ガチャに失敗して下記のような経験をするエンジニアもいます。
- 現場の業務内容では成長が全く期待できず、やむ終えず数ヶ月で退職する。
- 現場のメンバーとうまく仕事ができずに過度なストレスを抱えて体調を崩す。
もちろん”エンジニアファースト”な考えを持っているSES企業であれば、エンジニアのメンタルや体調のことを最優先してすぐに別案件に変えてくれます!
ただしこのような柔軟な対応ができるSES企業は、大概が潤沢な資金を持っている大手企業やメガベンチャー企業に限ります。
一方で、未経験者が入社する可能性が最も高いのが中小のスタートアップ系企業です。
言わずも、資金に決して余裕があるとは言えない企業です。
つまり、エンジニアファーストな考えよりも、”目先の収益ファースト”な考えが先行しがちです。
(必ずしも全ての中小企業に該当するわけではありませんが)
そのため収益が発生しない非常駐期間を少なくさせるために、現在の現場に1日でも長く常駐してもらうことを説得する傾向があります。
こちらも案件変更の件と同様に、エンジニアファーストで考えてくれるSES企業であれば、各エンジニアの展望をヒアリングした上で案件を選んでくれます。
しかし未経験者の場合は
各エンジニアの理想 < まずは下積みとして業務すること
このような優先順になりがちです。
なぜなら、実績がまだ無いエンジニアの意見を聞いている余裕がないからです!
なのでもし理想の案件にアサインしてもらいたい場合は、ある程度実績を残したり経験を積んだ状態にする必要があります。
給料が低い&なかなか上がらない
残念ながら、未経験者がエンジニアになるとほぼ間違いなく前職よりも収入が下がります。
さらに、もし転職先が中小企業のSES企業である場合は、低収入が数年続く可能性があります。
このように、低収入が続く可能性が上がる理由は下記の式が成立してしまうからです。
下流工程(未経験者であるため) × 多重下請け(SES企業であるため)
まず、未経験だと収入が下がる(または変わらない)というのはなんとなく理解できると思います。
一方で、SES企業だと低収入が続きやすい最大の要因は「多重下請け」という構造上の問題が発生するからです!
この多重下請けをイメージするためにも、まずは下記の図解を見てください。
(ただし企業や人によってはポジションに左右されずに業務をするケースもあるため必ずしも上記の図の通りとは言い切れないため、あくまでも参考程度に)
未経験者がSES企業に入社した場合、最初はほぼ間違いなく一番下の下流工程(低収入)に配属されることでしょう。
さらにSES企業によっては、自分たちの会社の上にさらに別のSES企業が存在するケースもあります。
つまり、自分たちよりも上の階層にいる企業にどんどん利益を吸い取られてしまうため、自分たちの手元に残る利益が少なくなるということです。
そして、残念ながら数年で上流工程に上がることは非常に厳しいです。
ここからはブラックと言われるSES企業に該当する話です。
ブラックなSES企業の場合、自社が抱えるエンジニアに転職やフリーランス転身をして離職してもらいたくないため、あえて成長できる機会をなくすような仕組みにしているのです。
つまり、成長しづらいロースキルポジションばかりの案件にアサインし続けることになります。
前述の「案件ガチャになりがち」でも触れましたが、ホワイトSES企業であれば、エンジニアファーストな考えのもと成長できる案件へのアサインをフォローしてくれます。
なので、「ブラック企業」の定義の一つとしては、”エンジニアファーストで考えてくれない企業”が該当すると言っても良いですね。
SES企業への転職に向いている人の特徴
前述までで挙げた「SES企業へ転職するメリット&デメリット」を踏まえた上で、SES企業への転職が向いている人の特徴としては下記の2つが挙げられるでしょう。
- とにかく1日でも早くエンジニアになりたいと考えている!
- 様々な現場を経験したい!
前者はあまり良い考えとは言えませんね。
なぜなら、ほぼ間違いなくロースキルポジションで数年も業務をさせられて、低収入を強いられることになるからです。
一方で、後者の考えは良い面と悪い面で捉えることができます。
良い面で言うと、環境の変化を利用して新たなスキルを習得したり、新しい知見や人脈を得る機会が増えます!
人間関係などで悩んだとしても、優良なSES企業であれば現場を変えてくれます。
反対に悪い面で言うと、必ずしも自分の理想通りの案件にアサインできるとは限らない点です。
さらに下手にブラックに近いSES企業に転職してしまった場合は、全く成長する機会のない現場に半永久的に常駐する可能性もあります。
つまり、SES企業へ転職する場合は優良な求人を見分ける力がポイントになってくるのです!
なお優良な求人の見分け方に関しては下記の記事で詳しく解説しているので、よければ併せてご覧ください。
【これでエンジニア転職に失敗しない!】優良な未経験者用求人の探し方7選!まとめ
- 未経験者採用をしている企業が多いため比較的選考ハードルが低い!
- 未経験者でもエントリーできる求人が豊富!
- 他社に依存しているため比較的倒産リスクは低い!
- 案件ごとにオフィスや人間関係が変わるため環境の変化を楽しめる!
- 案件が変わる旅に人も変わるため様々なコネクションを作れる!
- 未経験者採用が多い分ロースキルポジション求人に気をつけなければならない!
- 初めは案件を選べないケースが多いため案件ガチャになりがち!
- SES企業の構造上、低収入が続きやすい環境!
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